俗に蓄膿(ちくのう)と呼ばれてきた病気です。ヒトの顔面骨は成長と共に軽量化のため鼻周辺に副鼻腔という空洞を拡大させます。その空洞に炎症が起きることを副鼻腔炎と言います。急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎に分けられます。
急性副鼻腔炎
副鼻腔内の細菌感染で急激に炎症が起き、持続的に膿のような鼻水や痰が出て、頬部痛が出たりします。抗生剤投与により改善しますが、中途半端な治療で慢性化する場合もあります。また、診察の結果、歯が原因の場合は歯性上顎洞炎と言って、歯科的な処置が必要な場合もあります。原因菌の同定や適切な抗生剤の選択が必要となります。
慢性副鼻腔炎
急性副鼻腔炎が慢性化したものです。最近では、喘息を合併することもある好酸球性副鼻腔炎(難病指定)という治りにくいタイプの副鼻腔炎や、カビが原因の副鼻腔真菌症なども多く認めます。投薬だけで改善しない場合は手術が必要になりますが、好酸球性副鼻腔炎の場合は手術やステロイド投与だけでは不十分な場合もあり、新しい注射薬という選択をすることもあります。重症のアトピー性皮膚炎や気管支喘息で本邦でも用いられているデュピクセントという全く新しいタイプの治療薬もあります。治療にかかる費用が高額であることがネックですが、他のあらゆる治療に抵抗する好酸球性副鼻腔炎に新たな治療法が増えたということになります。