補聴器とは

読んで字のごとく、聴覚を補うための医療機器です。テレビ等の広告で販売されている集音器とは異なり、個人個人の状態に合わせて調整することが可能です。しかし、新しく補聴器を購入したからと言ってすぐによく聞こえるわけではありません。「音」を聞くことと「言葉」を理解することは異なるということをよく認識する必要があります。耳は、非常に精密にできた「空気の振動=」を「脳に伝えるため電気信号に変える」器官であり、ヒトの場合、内耳は生まれる時にはすでに完成された状態で生まれます。その後、大きな音に暴露されたり様々なストレスに曝されたりすることにより劣化していきます。その結果、空気の振動の一部を電気信号に変えられなくなり、脳に届く電気信号の量や質が悪くなります。補聴器は、悪くなった脳へ届く電気信号の量を増やすことができますが、質はよくなりません。そのため、生まれた時のようにすべての音を完璧に聞き取ることは不可能です。量的に十分になった電気信号から、言葉の理解度を満足するレベルに上げるためには、補聴器を装用してからのリハビリが必要です。

聴覚リハビリテーション

リハビリによって、脳の構造を変え、補聴器を通して入力される質は悪いものの量的には十分な音で、言葉を理解できるようにする必要があります。最近の補聴器は非常に高性能で、人工知能を搭載しているものやスマートフォンと連携して電話での会話の音や、音楽を補聴器を通して聴くこともできる器種もあります。また、リチウムイオン電池の進化により、面倒な電池交換が不要なモデルもあります。新型コロナ感染症の流行により、マスクを着用することが多くなり、耳かけ型(耳にかけるタイプ)ではなく耳あな型(耳に入る小型の補聴器)を選ぶ方が増えています。当院では、聴覚臨床の豊富な言語聴覚士かつ認定補聴器技能者の資格を持つ常勤職員が検査、装用指導をしています。検査に使用する防音室は特注の大きなものとなっており、可能な限りオーダーメイドの調整ができる機器を揃えております。また、近傍の補聴器販売店と協力して常に最新の情報を提供しています。

補聴器のセカンドオピニオンとして

補聴器を購入したけどよく聞こえない、自分に補聴器は有効かどうか知りたい、など補聴器に関する相談も受け付けます。必要十分な設備と言語聴覚士による正確な検査、補聴器適合判定医師、補聴器相談医による診断および説明で、聞こえに悩む方の道筋をつけていくことを目標にしています。なお、手術が必要な方は、適切な高次病院を紹介させていただきます。