鼻は、解剖学的には外鼻、鼻腔、副鼻腔に分けられます。

外鼻

顔の真ん中に位置する鼻の形を決定づける鼻骨のあるところです。外傷により鼻骨骨折を起こすと、整復固定術が必要となります。

鼻腔

鼻の穴の入り口からのどの奥の上端までの領域です。内部は凸凹した複雑な構造となっており、鼻を通る空気の加湿やゴミの除去などを行っています。また、鼻腔上方には、嗅裂という匂いのセンサーが集中している部位もありますので、鼻が詰まるような病態の場合、嗅覚障害を来たします。鼻腔粘膜が腫れるアレルギー性鼻炎副鼻腔炎、構造的に鼻腔が狭くなるような鼻中隔弯曲症なども鼻のとおりに影響します。鼻から息を吸いにくい人は、十分に加湿されたりゴミの除去が出来ていない空気を吸うことになりますので、風邪をひきやすかったり、口が乾いたり、寝ている場合は睡眠時無呼吸症候群になることもあります。稀に、鼻腔内に良性腫瘍や癌を生じることもあります。

副鼻腔

解剖学的には軽量化に成長とともに発達してくる顔面骨内の空洞になります。上顎洞篩骨洞前頭洞蝶形骨洞の4種類あります。各副鼻腔と鼻腔は非常に狭い通路で交通しているため、鼻腔内の粘膜が腫れるような病態の際には副鼻腔が孤立化してしまい、中に粘液や膿が溜まってしまいます。その結果、副鼻腔炎(蓄膿)になります。炎症の原因がカビの場合は副鼻腔真菌症と言って、場合によっては周囲の組織に炎症を波及させてしまう攻撃的な病態を引き起こします。その他良性腫瘍や癌を引き起こす場合もあります。